2.5Gbps イーサネット・ネットワークのパフォーマンスを最大化する

Last Update: January 20th, 2025
Article ID: 3015645

 

イーサネット技術は 1970年代後半に登場し、今日までに大きな進化を遂げました。初期の 10 Mbps データ転送レートはその当時では充分とされていましたが、デジタル需要の増加に伴いより高速なデータ転送速度が求められるようになり、高速 イーサネット(100 Mbps)、さらにはギガビット・イーサネット(1 Gbps)の登場へと繋がりました。この ギガビット・イーサネットは、家庭やオフィスのネットワーク標準として 20 年以上にわたって使用されています。

これらの年々進化する技術の中で、より高い速度を扱うための規格が開発されてきましたが、それは主にネットワークまたはファイルサーバーや、クラウドコンピューティングでの利用に限定されていました。しかし最近では、2.5 Gbps や 5 Gbps イーサネットのような技術が 10 Gbps イーサネット技術から発展し、現代の家庭やオフィス環境における高帯域幅アプリケーションに対応するようになっています。これらの技術進化により、ユーザーはビデオストリーミングやゲーム、そして広範なネットワークタスクを、WiFi より信頼性が高く低遅延で、充分な速度でデータ転送することが容易になりました。

ネットワーク全体を 1 Gbps( 1 ギガビット)から 2.5Gbps 以上にアップグレードするのはコストがかかり、時間もかかりますが、すべてを一度に行う必要はありません。Plugable 社は、ノートパソコンやデスクトップコンピュータで使用でき、内蔵ネットワークコントローラ(通常は  1 Gbps )よりも高速の 2.5Gbps 対応 USB イーサネットアダプタを販売しており、近日中には 5Gbps 対応製品も発売予定です。デスクトップの場合でもこれらのアダプタを使用すれば、わざわざ PCIe カードをインストールする手間がかかりません。

このような超高速イーサネット製品は、現在主流のギガビットイーサネットと後方互換性があり、多くの場合それまで使っていたのと同じネットワークケーブルを使用できます。しかし、将来的な 5Gbps および 10Gbps イーサネットとの互換性を確保したい場合は、現在使用中の Category 5 / 5e ケーブルを、いずれかのタイミングで少なくとも Category 6a または Category 7 ケーブルに交換しておくことを推奨します。

デスクトップ用の 2.5Gbps および 5Gbps イーサネット・スイッチも価格が下がっており、LAN 上のコンピュータ間でネットワーク・スループットを迅速にアップグレードするために利用できます。2.5Gbps 以上のイーサネット環境へアップグレードを進める際、コンピュータ間ネットワークのスループットを最大化するためにはいくつかの注意すべき項目がありますので、下記で説明します。

 

2.5Gbps イーサネット・パフォーマンスを最大化するには

2.5Gbps イーサネット・ネットワークのパフォーマンスを最大化することで、速度と信頼性を向上させることができます。特に、中小企業の IT 環境や家庭用メディアセンターなどで使用するために、転送効率と多種多様な機器とのシームレスな接続性を重視するパワーユーザーにとって、大きなメリットがあることでしょう。以下は小規模な 2.5Gbps および 5Gbps ネットワーク環境を構築するにあたって留意する項目です。

 

1.LAN 内のネットワーク・インターフェースをアップデートする

ネットワーク・スイッチやルーター:ネットワーク基本構成要素、特にスイッチやルーターが 2.5 Gbps または 5Gbps イーサネット対応であることを確認してください。1 Gbps までしか対応古いモデルを使用していると、転送時のボトルネックとなります。

これは、より高速な相互接続が必要な LAN ネットワークにおいて最も重要な点です。一方、もしもインターネット接続速度が 1Gbps 以下であれば、たとえルーターをアップグレードしてもインターネットへのパフォーマンス向上には繋がらない点に注意してください。

ケーブル品質:高品質な Cat 6a 以上のケーブルを使用してください。2.5Gbps 転送レートは、短距離であればCat 5e イーサネットケーブルでも動作するように設計されてはいます。しかし長距離での使用や最良のパフォーマンス確保のためには、少なくとも Cat 6、6a、または Cat 7 ケーブルを使用するよう推奨します。5Gbps/10Gbps ネットワークではこれは非常に重要です。

 

2.接続デバイスを最適化する

NIC 構成:ネットワークインターフェースカード(NIC)の設定を調整して、最適なパフォーマンスを確保します。これには、最大効率を得るためにジャンボ・フレームやフロー制御などのパラメータを調整することが含まれます。

1500 バイト以上のデータを持つイーサネット・データフレームは「ジャンボ・フレーム」と呼ばれます。フレームサイズを大きく設定することで、各フレームに、より多くのデータを詰め込むことができ、CPU 負荷(オーバーヘッド)の削減が期待できます。ただし、これを機能させるにはこのジャンボ・フレームをネット枠の両端点および仲介のすべてのネットワーク機器がサポートしている必要があります。ほとんどのユーザーにとって、ネットワークパフォーマンスに顕著な違いはありませんが、例えば家庭用サーバーがトランスコーディング(メディアファイル形式を別形式に変換)して動画をストリーミングしているような、非常に CPU 負荷の高い特定のケースなどでは、CPU オーバーヘッドを削減するのに役立つことがあります。

ジャンボ・フレームを有効にするのは、広範囲なネットワークよりも短い P to P ネットワークでの方が効果的です。なぜなら、ジャンボ・フレームを有効にした構成でネットワーク通信時にパケットロスが発生すると、標準のフレームサイズよりもはるかに大きな遅延を引き起こす可能性が高いからです。

 

フロー制御(Flow Control):フロー制御とは、受信システムが送信システムに一時的にデータ送信を停止するように要求する機能で、これによってデータ損失を防ぐことができます。これは、すべてのリクエストを同時に処理するための帯域幅が十分にないのが一般的と言える、複数のコンピュータが同じサーバーと通信しているネットワーク環境で必要になります。しかし、両方のコンピュータが直接接続されており、フルスピードでデータを処理できる P to P ネットワーク(1 対 1 通信)の設定では、フロー制御を無効にすることができます。

QoS (Quality of Service サービス品質)はこのフロー制御の代替手段を提供するものですが、通常はより多くの設定が必要で、管理スイッチなどを含むことが多いため、家庭用や小規模オフィスのネットワークでは効果的ではない場合があります。

 

デバイス・ドライバおよびファームウェアの更新:ネットワークアダプタ、スイッチ、ルーターのデバイスドライバとファームウェアを、常に最新の状態に保つことが重要です。これにより互換性の問題を減らし、パフォーマンスの向上が期待できます。ファームウェアの更新はネットワークのセキュリティを維持するためにも重要です。ルーターのファームウェアに存在する脆弱性は、過去にネットワークのバックドアを作成したり、データを抜き取ったり、DDoS(分散型サービス拒否攻撃)攻撃のためにボットネットを作成するために悪用されてきた歴史的事実があるからです。

Plugable 社製ネットワーク製品のデバイス・ドライバは、Plugable 社のそれぞれの製品ページの「ダウンロード」タブ、あるいはドライバページから入手できます。

 

3.ネットワーク・セグメントを構成する

異なる速度のデバイス(1Gb、2.5Gbps、5Gbps、10Gbps)が混在するネットワークでは、トラフィックをセグメント化することで、一部の低速なデバイスがネットワーク・パフォーマンスに影響するのを防ぐことができます。これを行う方法としては、物理的に 1 ギガビットイーサネット・スイッチを 2.5Gbps または 5Gbps スイッチとは別に使用し、それらのスイッチをブリッジ接続する方法、あるいは管理型イーサネットスイッチで仮想 LAN(VLAN)を設定するなどの方法があります。仮想 LAN を活用することで、2.5Gbps および 5Gbpsの接続を高帯域幅のタスク専用に割り当て、低速なデバイスはサーバーやクライアントコンピュータの二次的なギガビット・イーサネットポートを利用することができます。

 

4.主要アプリケーション用にマルチギガ対応デバイスを用意する

2.5Gbps または 5Gbps イーサネットを統合した NAS(ネットワーク接続ストレージ)システム、高性能ワークステーションや USB イーサネット・アダプタを使用したデスクトップ代替ノートパソコン、大容量データ転送を扱うマルチポート・ボンディング・イーサネットコントローラを搭載したサーバーなどの、2.5Gbps 以上の転送レートで最も恩恵を受けるデバイスを特定します。これらのデバイスを、より高いネットワークスループットを活用できるスイッチに直接接続することで、最高のパフォーマンスを確保することができます。

 

5.2.5Gbps 以上の超高速ギガビットネットワークに対応した USB ドッキングステーションやイーサネット・アダプタを使用する

多くの Plugable 社製ドッキングステーションは 2.5Gbps イーサネットに対応しており、これによりハイブリッドワーク環境、家庭、または教育現場等での生産性向上に最適です。高速な有線接続を提供することでより効率的な作業が可能になります。また、Plugable 社製ドッキングステーションは、Windows、Chrome OS デバイス間での統合が非常に簡単なため、異なる PC システムやデバイスが混在する環境でも役立ちます。

下記の製品は、2.5Gbps イーサネット・ネットワークに対応しています。

USB イーサネット・アダプタ

  • USBC-E2500:USB Type-C 2.5Gbps イーサネット・アダプタ
  • USBC-E5000:USB Type-C 5Gbps イーサネット・アダプタ

Thunderbolt ドッキングステーション

  • TBT4-UDX1:Thunderbolt 4 / USB4 ドッキングステーション 
この情報は役に立ちましたか?