DisplayLink 技術と代替モード グラフィック出力の違いについて

Last Update: August 23rd, 2024
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チップセットについて

チップセットは、特定の電子機器の頭脳と考えることができます。例えば、ビデオ信号、オーディオ信号、ネットワーク接続、ストレージ機器などを管理するチップセットがあります。

ほとんどのユーザーにとって、デバイスに使用されているチップセットの詳細を知る必要はありません。しかし、技術的な場面では、その機器が採用しているチップセットについて知ることが非常に役立ちます。互換性や、他の製品情報に記載されていない一般的とは言えない技術機能について知る必要があるからです。


外部モニタの接続方法

Plugable 社は、コンピュータに外部モニタを追加するための、様々な技術を駆使した製品を提供しています。外部モニタの接続方法には現在2種類あり、それぞれメリットとデメリットがあります。


1. DisplayPort 代替モード(Alt モード)

代替モード・グラフィック機能は、USB-C ポート経由でグラフィック信号を送信するために規定された新しい技術です。コンピュータ自身に内蔵されている GPU(グラフィックチップ)から、(従来のようなビデオケーブルではなく)USB Type-C ポートを介してグラフィック信号を出力することができます。これにより、従来のグラフィック専用ポートと同等レベルの高品質グラフィックデータを、高いパフォーマンスで利用できます。

代替モードのもう一つの大きなメリットは、PC 側にこれをサポートする USB-C ポートがあれば、モニタ側がどんなインターフェースであっても簡単に接続できる点です。ケーブルを使い分けることで、インターフェースの違いを吸収できます。

例えばモニターに HDMI ポートしかない場合は「USBC-HDMI ケーブル」を、VGA 入力ポートがない古いモニターの場合は「USBC-VGA ケーブル」を使うことができます。最新のモバイルモニターなどでは入力ポートに「USB-C ポート」がついていることがありますが、両端が USB-C コネクターになっている、USB 3.1 以上に対応した USB-C ケーブルで接続できます。 

PC に搭載されたUSB-C ポートが「DisplayPort 代替モード」をサポートしていれば、外部モニタをするには「代替モード」は最も良い選択肢と言えます。ただし、すべての USB-C ポートがこの代替モードに対応しているわけではないことに注意してください。また、この代替モード機能は USB-C ポートの物理仕様に依存しており、古くからある USB Type-A (USB 3.0)ポートにはこの機能はありません。

通常の PC 環境では、DP 代替モード経由で接続できる外部モニタの数は(Thunderbolt 3/4 ポートを除いて)1 台に制限されることがほとんどです。Thunderbolt 3 または 4 に非対応の USB-C ポートに、さらに2台目、3台目の追加外部モニタを接続したい場合には、別の方法をとる必要があります。


2. USB グラフィック変換

USB グラフィック技術は、本来「データ通信用」として定義されている汎用ポートの USB ポートから、「外部(デバイス側)に搭載された特別なチップセット」を使うことでグラフィックデータを出力できるようにする技術です。代表的なものに DisplayLink 技術や Silicon Motion 技術などがあります。 

例えば DisplayLink 技術は DisplayLink 社が開発した何種類かのチップセットが提供されており、これを利用して様々な周辺機器メーカーが多種多様な製品を提供しています。

代替モードとは異なり、この DisplayLink のような「USB グラフィック変換」技術では、コンピュータ自身に内蔵されている GPU から直接グラフィック信号を送信するわけでありません

その代わりに、プロセッサー(CPU)性能によってコンピューター上に仮想ディスプレイ空間を作り、そこで生成され圧縮されたグラフィック・データを、USB 経由で DisplayLink チップ搭載のグラフィック周辺機器(ドッキングステーションやグラフィック変換アダプタなど)に送信します。そして周辺機器側の DisplayLink チップが、PC から送信されたグラフィックデータをでデコードし、解凍してモニタ上に表示するという仕組みになっています。

このため、DisplayLink をはじめとした USB グラフィック変換をするためには PC 側に専用のデバイス・ドライバーの導入が必須となります。また、直接的に GPU からのグラフィックデータを送信する方法ではないため、USB グラフィック技術にはいくつかのパフォーマンス上の制限があります。たとえば同時に生成するピクセル数が増えれば増えるほどシステムリソースを消費するため、非常にグラフィック負荷が高く、専用グラフィックカードを必要とするような「高度なグラフィック機能を使ったアプリケーション(マルチメディア表示や3D ゲーム、動画編集など)」には不向きです。また、通常は HDCP コピー保護されたコンテンツの表示には対応していません。

このような製品を使うメリットは、もともとシステムが対応しているグラフィックポート数を超える数の外部モニタを接続するには、比較的安価な方法だということです。またグラフィックカードの追加などができないノート PC などでは、2台目、3台目以降のモニタ接続にはこの機能を使う以外の選択肢がないこともあります。

また USB グラフィック技術はポートの物理形状には依存しないため、USB-C ポートでももちろん、従来型の USB Type-A ポート経由でも使用できます。USB-C ポートが登場する前から外部モニタを追加接続するために長く使われてきた、実績のある技術です。一般的なビジネスアプリケーションで PC を利用する多くユーザーにとっては、メリットの高い手段と言えます。